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五十肩で知られる肩関節周囲炎の原因と治療

肩関節の痛み

2024/07/16

院長 郷真知

記事監修 表参道イーグルクリニック代表医師 日本整形外科学会認定整形外科専門医

院長 郷 真知

四十肩、五十肩でお困りの方は多いと思います。四十肩や五十肩は江戸時代にはすでに長寿病として紹介されており、年齢を重ねたことの自虐に使われることも多い、身近な病気です。しかし、医学的には肩関節周囲炎と呼ばれ、肩の周囲に炎症が生じる疾患として知られています。

今回は肩関節周囲炎の原因や治療方法について解説します。

四十肩・五十肩で知られる肩関節周囲炎について原因や治療法を医師が解説します。

肩関節周囲炎とは

肩関節に痛みや動きの制限が生じる疾患で、50代によく見られることから四十肩、五十肩として知られています。

感染症や腫瘍、骨折、打撲、脱臼などの直接的な所見がみられず、痛みの症状がある場合に肩関節周囲炎と診断されます。

関節の変形や軟骨の消失などが生じている場合や、腱板の断裂など、肩関節を構成する組織のうちの一つが要因となっている場合は別の疾患として区別します。

肩関節周囲炎の症状

肩関節周囲炎の主な症状として、肩の痛みや、肩の動きの制限などがあります。

特に夜間や肩を動かした時に痛みが強くなることがあります。

このような症状から服の着脱や髪を洗うなどの腕を大きく上げるような日常生活のなかの動作が困難になることもあります。

肩関節の動きをよくする働きをする肩峰下滑液包や関節を包んでいる関節包が癒着してしまうことでさらに肩の動きが悪くなります。これらの症状を拘縮や凍結肩といいます。

肩関節周囲炎の症状と回復の進行

肩関節周囲炎の症状は進行に応じて、炎症期、拘縮期、回復期に分けられます。

それぞれの期間については個人差がありますが、肩関節周囲炎は完全に回復するまでに1年以上要することもあります。

痛みが強い「炎症期」

疼痛が強い時期で、日常生活の中でも痛みを感じる時期を指します。約1ヶ月から3ヶ月続き、痛みが大きくつらい時期です。

肩の可動範囲が狭まってしまう「拘縮期」

炎症が治り、痛みに改善が見られる時期を指します。この時期には疼痛に改善が見られますが、肩関節の曲がる範囲が狭まってしまう、可動域制限が顕著に現れます。この期間が約1ヶ月から6ヶ月ほど続きます。

痛みは改善するが肩の可動範囲に制限が続く「回復期」

この時期になると疼痛はほぼ改善します。一方で肩の可動域に関しては、肩関節周囲炎の発症前と比べてまだ制限がある場合が多いといえます。

回復期は約6ヶ月から1年ほど続きます。

肩関節周囲炎の原因

主な原因

主な原因として、長時間にわたって肩を動かさなかったことや、姿勢が悪いこと、肩を使いすぎてしまったことが挙げられます。

また、加齢によって肩周辺の骨や軟骨、腱や靭帯の組織に変性がおき、炎症が生じることも原因になります。

糖尿病との関連

肩関節周囲炎は糖尿病の方に多いことも知られています。

糖尿病による血管や神経の障害による影響やタンパク質の糖化によって、肩の周囲の組織が固くなってしまうことが要因のひとつと考えられています。

糖尿病と併発している場合、それ以外の肩関節周囲炎の方と比較して治りにくい場合もあります。

肩関節周囲炎の治療方法

治療方法は保存療法が主となり、多くの場合、約1年ほどで痛みが治ることが多いと考えられています。

保存療法とは薬を使用する薬物療法や、マッサージなどの物理療法、ストレッチなどを行う運動療法などの総称で、手術以外の療法を指します。

保存療法

保存療法では通常、運動療法や手技療法、薬物療法などを組み合わせて実施します。

運動療法

運動療法では、関節可動域を広げるストレッチや筋力トレーニングを行います。

ストレッチでは胸部や肩甲骨周りの筋肉の柔軟性を改善することで、肩関節の動きを改善し、拘縮を予防・改善します。

炎症が生じている場合には痛みを避けながら行い、拘縮が生じている時は積極的に可動域の改善を図ります。

これにより、肩の動きが良くなり、姿勢の改善にもつながります。

筋力トレーニングは肩周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を高めます。特に回復期に重要で、積極的に筋力強化を行います。

痛みの程度に応じて運動強度を調整します。状態に応じて適切な運動療法を選択し、特に炎症期には痛みを避けることが重要です。

無理をして痛めてしまうことを避けるためにも、柔道整復師や理学療法士など専門家の指導のもとで行うようにしましょう。

薬物療法

薬物療法では消炎鎮痛剤(NSAIDs)やステロイド注射が用いられることがあります。

医療機関で処方を受け、容量を守って服用するようにしましょう。

再生医療に準じる治療

通常の保存療法を行ってもなかなか回復が見られない場合や、職業上の都合などで早期の回復を目指したい場合は、PRP-FD療法などの再生医療に準じる治療を選ぶこともできます。

PRP-FD療法は血液から抽出した成長因子を注入することで、痛みの軽減や傷ついた組織の修復を期待する治療です。

患者様自身の血液を加工するため、アレルギー反応が生じにくい点がメリットとなります。保険適用外となるので、一般的な保存療法と比較すると高額になることがデメリットとなります。

詳しくはPRP-FD療法について解説したページをご覧ください。

手術療法

手術療法では徒手的肩関節授動術(非観血的肩関節授動術)と鏡視下肩関節授動術が知られています。

徒手的肩関節授動術

徒手的肩関節授動術は、メスを使って行う手術ではなく、日帰りで行うことができます。

局所麻酔を施した上で、医師が関節を大きく動かし、癒着した肩峰下滑液包や関節包を剥がします。これによって徐々に肩関節が動くようになります。

最後に痛み止めを関節内に注射します。

徒手的肩関節授動術はリスクも少なく、効果も見込める治療ですが、骨粗鬆症の方は骨折のリスクがあるので実施できない場合もあります。

鏡視下肩関節授動術

鏡視下肩関節授動術は、癒着した関節包を切り取る手術を行います。

全身麻酔を行った上で、数mmから1cmほど切開し、関節鏡と呼ばれるカメラや手術器具を挿入して行う手術です。10日ほどの入院で実施することが多いようです。

鏡視下肩関節授動術は骨粗鬆症などの疾患があっても実施することができます。

まとめ:五十肩でも整形外科を一度受診してみましょう

一般的にも広く知られている五十肩ですが、場合によっては手術をすることもある疾患です。

年齢を重ねたら肩が痛くなっても仕方ない、と諦めて放置してしまうと、関節の癒着が進み、肩が動かしにくくなってしまうこともあります。

一度かかりつけの整形外科を受診し、治療を開始することをお勧めします。

参考文献

肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン

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院長 郷真知

記事監修 表参道イーグルクリニック代表医師 日本整形外科学会認定整形外科専門医

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