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【医師監修】膝の内側が痛い時に考えられる病気

お悩み/症状

2024/01/31

院長 郷真知

記事監修 表参道イーグルクリニック代表医師 日本整形外科学会認定整形外科専門医

院長 郷 真知

長引くひざの内側の痛み。その原因が分からず不安な思いをされていませんか? 
今回は、そんな症状にお困りの方のために、考えられる痛みの「原因」を骨・軟骨・筋肉・靭帯などのいろいろな角度から解説します。

膝の内側が痛い時に考えられる病気について医師が解説します。

階段の上り下りで膝の内側が痛む:変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

 変形性膝関節症とは、ひざの軟骨のすり減ることによって関節内に炎症が生じるひざの代表的な疾患です。

 厚労省発表のデータによると、変形性膝関節症の患者数について潜在的な患者は約3,000万人と推定されています。[7]

 また、日本人は元々O脚である人が多いため、ひざの内側に痛みが生じる内側型の変形性膝関節症を発症することが多いです。内側型の変形性膝関節症の割合は全体の9割とされています。

原因:加齢による軟骨の劣化や肥満による負荷などがほとんど

変形性膝関節症の成因は様々ありますが、大きく「一次性」「二次性」に分けられます。[2]

一次性:原因は不明

「一次性」の場合明確な原因は特定できず、加齢変化や筋肉の衰え・肥満・無理な動作などの多くの要因が絡み合って膝への負担となり、膝の関節軟骨がすり減って炎症を起こすことで変形性膝関節症を発症します。

二次性:原因が明確

怪我や病気など原因が明確なものを「二次性」といいます。
大部分を占めるのは「一次性」です。

 例えば、60歳前後の女性が誘因なく膝の痛みや運動障害、膝に水が溜まるなどの症状を訴え、明らかな原因が認められない場合は一次性に分類されます。

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変形性膝関節症について詳しく解説した記事もご覧ください。

変形性膝関節症で見られる症状

初期症状には、動き始めの痛みや、階段の上り下りがしづらいなどがあり、
進行すると、骨の損傷が進むことで関節が変形し、動かす度に激痛を伴うようになります。
その他に一般的には以下のような症状がよく見られます。

変形性膝関節症のリスクと症状の具体例

なりやすい人・原因起こる症状
□ 50歳以上の方
□ 女性
□ O脚の方
□ 肥満体型の方
□ 靭帯損傷や半月板損傷など外傷歴のある
□ 膝が曲げづらい
□ 階段の上り下りで膝が痛む
□ 歩きはじめや立ちあがるときに膝が痛む
□ 正座がつらい
□ 膝に水がたまり、腫れている

曲げ伸ばした時に膝にひっかかる感覚がある:半月板損傷

半月板とは

 半月板は膝関節の中で大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の間にあるC型をした軟骨様の板です。膝の内側と外側にそれぞれ一つずつあり、膝関節への衝撃を和らげたり、安定させる役割を果たしています。

 内側の半月板を損傷している場合、ひざの内側に痛みが出ます。

半月板損傷は変形性膝関節症を引き起こす原因になることが知られています。

半月板損傷については以下の記事もご覧ください。

半月板損傷の原因

 原因には、スポーツや事故などで膝に強い衝撃が加わったことによる損傷や、加齢による負担の蓄積による変形などがあげられます。そのため、内側側副靭帯損傷や前十字靭帯損傷、変形性膝関節症など、他の疾患に合併して起こることも少なくありません。

半月板が損傷した時の症状

次の症状がある場合は、半月板損傷の可能性がありますので注意してください。

<内側半月板損傷>

なりやすい人・原因起こる症状
□ 高齢者の方
□ バレーボールなど、ジャンプ動作を繰り返すスポーツをしている
□ サッカーなど、急な切り返しの動作が多いスポーツをしている
□ 曲げ伸ばした時にひっかかる感覚がある
□ 歩行時に痛みがある
□ 膝に水がたまりやすい
□ 膝のロッキング現象(急にひざが動かなくなる症状)

膝の内側の少し下が痛み、膝に熱を感じる:鵞足炎(がそくえん)

鵞足とは

 ひざの内側には、縫工筋、半腱様筋、薄筋という3種の太ももの筋肉と脛(すね)の骨をつなぐ腱が集まって付着しており、この部分は、鵞足(がそく)と呼ばれます。(集まった3つの腱の形が鵞鳥(ガチョウ)の足に似ているため)

 鵞足炎(鵞足に炎症が起きた状態)になると鵞足の付着部である同部位に痛みを生じます。

鵞足炎原因

 鵞足炎の原因は、ひざの曲げ伸ばしやひねる動作で、鵞足部と腱や骨が擦れることです。したがって、そういった動作の多いランニング等のやりすぎがきっかけになることが多いです。また変形性膝関節症の合併症として最も多い疾患でもあります。

鵞足炎で見られる症状

鵞足炎では、次のような症状が見られます。

鵞足炎のリスクと症状

なりやすい人・原因起こる症状
□ 運動時の準備運動や運動後のケアを怠る
□ 過度な運動
□ 体が硬い
□ 変形性質膝関節症と診断されている方
□ 膝を曲げ伸ばした時に内側が痛む
□ 膝の内側を押すと痛い
□ 膝に腫れや熱感が見られる

ひざの内側を押すと痛い:内側側副靭帯損傷

内側側副靭帯とは

 ひざの内側に位置する内側側副靭帯は、急な方向転換などを行なった際、ひざが内側に動き過ぎないよう、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)をつなぎ、支えている組織です。[3]

内側側副靭帯損傷の原因

 内側側副靭帯損傷は「ひざのねんざ」と言われるほど、ひざのケガとしては発生頻度の高い病気です。ひざを内側に曲げて切り返す動作の多いサッカーやアメフト、ラグビーといったスポーツで起こりやすく、負荷の蓄積や接触など、強い衝撃が加わることでダメージを負いやすくなります。

内側側副靭帯損傷の症状

内側側副靭帯では、次のような症状が考えられます。

「パキッ」「コリッ」など膝から音がする:タナ障害(滑膜ひだ障害)

タナ・滑膜ひだとは

 ひざには、胎児のときに一時的につくられた関節腔の隔壁の遺残と考えられている「滑膜ひだ」という膜が複数存在します。その膜のうち、膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)と大腿骨の内側の間にある膜(内側滑膜ひだ)が関節鏡で見ると棚状に見えることから、「タナ」と呼ばれています。

 滑膜ひだは成長の過程でなくなっていくものですが、半数ほどの人はこの「タナ」を持ったまま生まれてきます。そのこと自体は問題ではありませんが、この「タナ」が炎症を起こすとタナ障害となって、ひざの内側に痛みが生じます。

タナ障害の原因

 原因はオーバーユース、つまり使いすぎであることが多いです。スポーツなどでひざの曲げ伸ばしを過剰に行うと、タナが骨とこすれたり関節に挟まったりすることがあり、それによって炎症が起こります。

「タナ」の形状は細いものや厚みのあるものなど様々ですが、特に厚みがあり太い(幅が広い)タナの場合、炎症が見られやすい傾向があります。

タナ障害で見られる症状

タナ障害の場合、次のような症状が現れやすいでしょう。

ひざの内側が痛みやすい身体的特徴

 ひざの疾患とは別に、身体的特徴などが原因として影響している可能性もあります。身体のクセや状態がひざの内側に負担をかけ、それによって痛みが生じていることも多いのです。

O脚(太ももや膝が左右でくっつかない状態)

 内側のくるぶしを合わせて立ったときに、太ももや膝が左右でくっつかない状態をO脚と呼んでいます。

 O脚は、股関節、膝関節、足関節の配列の乱れから起こる状態です。この状態でスポーツなどをすることで膝関節の内側への負担は倍増し、ひざの内側に痛みが生じるなど何かしらの疾患が起こりやすくなります。

筋力不足

 ひざの痛みには筋力が大きく影響しています。歩行や階段の上り下りなど、日常の動作の中で重要な役割を担っている膝関節を支えているのが、周辺の筋肉だからです。

 そのため筋力が低下している場合、膝にかかる負荷は大きくなり、痛みを引き起こしやすくなります。

 筋力不足が原因である場合は、適度な運動や筋力トレーニングで筋力をつけるとよいでしょう。

筋肉が硬い

 筋肉が硬いことも膝の内側の疼痛の原因のひとつにあげられます。筋肉が硬いということは、筋肉の収縮が続いているということです。そのため、筋肉と骨をつなぐ腱への負担が大きくなり、オーバーユースを起こしやすいと考えられます。

 また、この筋肉の硬直によって通常よりも骨は引っ張られた状態になることから、O脚を引き起こすことにもつながります。

 筋肉が硬い場合は適度なストレッチなどが有効です。

痛みが続く場合は早めに整形外科へ

 膝の内側に強い痛みを感じる方、もしくは長期間痛みに悩まされている方は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。特に変形性膝関節症である場合、進行すると歩行が困難になる恐れがあります。


1.介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について報告書」平成20年7月

2.白倉 賢二. 変形性膝関節症の診断と治療 一最近の動向一. リハビリテーション医学. 2005; 42 : 239−262

3.斉藤 正佳,赤羽根 良和,永田 敏貢,栗林 純.内側型変形性膝関節症に合併した鵞足炎の発生機序.東海北陸理学療法学術大会誌 27(0), 100-100, 201

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