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手の軟骨がすり減る?母指CM関節症について

手関節の痛み

2024/06/05

院長 郷真知

記事監修 表参道イーグルクリニック代表医師 日本整形外科学会認定整形外科専門医

院長 郷 真知

母指CM関節症について解説します。

手の軟骨がすり減る、母指CM関節症とはどんな病気か

母指CM関節症とは

母指CM関節症は親指の付け根の関節にある軟骨がすり減り、関節が変形したり痛みを感じる疾患です。

親指側の手の甲にある第一中手骨と手首側の大菱形骨の間の関節をCarpometacarpal関節、通称CM関節と呼びます。また、親指のことを医学的な表現で母指といいます。

CM関節は親指と他の指を向き合わせる方向に動き、何かをつまむような動作に関わる働きをしています。

加齢や使いすぎなどの要因によって軟骨がすり減る疾患が母指CM関節症です。

母指CM関節症の症状

初期〜中期の症状

母指CM関節症の初期段階では握る動作やつまむ動作で痛みが伴うことがあります。

日常生活の中では

などの症状が現れることがあります。

これらの症状に心当たりがある場合は、整形外科を受診をしてもいいかもしれません。

進行した場合に見られる症状

症状が進行すると

が見られることがあります。

軟骨のすり減りの進行と、症状の感じ方には個人差があり、重度に進行している場合でも痛みがあまりなかったり、軽度の場合でも強い痛みを感じる場合もあります。

母指CM関節症の原因

母指CM関節症の直接的な原因としては、加齢、関節への大きな負荷が原因と考えられています。

母指CM関節症になりやすい人

母指CM関節症は以下のような人に発症しやすいと考えられています。

女性ホルモンの一種エストロゲンは滑膜の炎症や腫れを抑える働きをしています。特に女性ではエストロゲンが更年期に急激に減少するため、この時期に母指CM関節症が生じやすいという説があります。

母指CM関節症は自力で治る?

母指CM関節症は手の関節の使いすぎや加齢などによって、親指の付け根の軟骨がすり減り痛みを生じる疾患です。

関節の軟骨は血流が乏しく自己治癒能力が低い箇所です。そのため、母指CM関節症を自力で治すことは容易ではありません。また、自己治癒能力が低いことから、自然治癒も期待しにくい疾患です。

一方で、運動療法を行う上で、自分で治そうとする意思は非常に重要です。正しい指導の元で、継続的に運動をすることで関節の負荷を減らすことが期待できます。

また、手を休めて安静にすることなどで痛みが弱まることがありますが、これは一時的なものに過ぎず、症状は進行し続けている場合もあります。

母指CM関節症を放っておくとどうなる?

母指CM関節症は放っておくと進行を続けます。手の関節の変形が進行したり、関節の可動域が狭まったりします。

手の関節は健康に過ごすためにも重要な関節のうちの一つです。

早期に治療を開始しましょう。

母指CM関節症の診断方法

診断にはレントゲンが用いられます。

しかし、関節部位は骨や軟骨、筋肉、腱などが複雑に絡み合ってできているため、レントゲンだけでは柔らかい組織の状態がわからない場合もあります。

正確に診断するためにも、CTやMRIの撮影を勧めることがあります。

MRIの撮影については以下の記事もご参照ください。

母指CM関節症の治療

保存療法

CM関節は日常生活でもよく使用する関節のひとつです。関節にかかる負荷を減らし、安静にすることで痛みを抑えることが優先されます。

テーピングやサポーターを用いることで負荷を減らします。

また、痛みがある場合には、鎮痛剤などを使用する薬物療法が選ばれます。また、それでも痛みが強い場合にはステロイド注射を行うこともあります。

これらの方法をまとめて保存療法と呼びます。

手術療法

保存療法で十分に効果が見られない場合、手術が検討されます。

親指の付け根にある骨を切除して、腱を使って関節を作り直す関節形成術や、傷んだ軟骨を削って関節をワイヤーやネジで固定する関節固定術が検討されます。

関節形成術では力が入りにくくなるものの、関節の動きは維持されます。関節固定術では、力は入りやすいものの関節は動かなくなります。

患部の状態や患者様自身の生活様式などを考慮して選択されます。

再生医療

再生医療及びそれに準じる治療は、患者様自身の血液や細胞から採取した成分を使用し、損傷した組織の再生を促す治療です。

患者様自身の成分を用いることでアレルギー反応のリスクが少なく、手術や入院が不要な点が利点となります。

効果には個人差があるため、合わせて運動療法を実施することをお勧めしています。

当院でも扱っておりますので、ぜひ無料電話相談をご利用ください。

まとめ

母指CM関節症について解説しました。

CM関節は日常でもよく使う関節の一つです。

生き生きとした健康な生活を送るためにも、治療を開始しましょう。

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