変形性膝関節症の治療方法には大きく分けて、保存療法、手術療法、再生医療等がありますが、このうち、運動療法は保存療法に分類されます。
今回は、変形性膝関節症になぜ運動療法が重要と考えられているか解説します。
おすすめの運動や注意して欲しい点も併せて紹介します。
目次
変形性膝関節症の運動療法とは
運動療法は保存療法の一つに分類される治療方法です。
運動することで症状の改善を図ったり、症状の進行を防ぐ治療方法です。
変形性膝関節症になぜ運動療法が有効なのか
変形性膝関節症に対して運動療法で期待できることは、筋力強化、関節可動域の改善、体重のコントロールなどです。それぞれ詳しく解説します。
膝の筋力強化
変形性膝関節症の原因の一つに、加齢等による筋力の低下が挙げられます。
膝にかかる負荷を筋肉で支えきれなくなってしまうことで、膝のクッションの役割を担っていた軟骨がすり減り、変形性膝関節症が進行していきます。
大腿四頭筋や大殿筋など、脚の筋肉を鍛えることで膝を支える力が向上し、膝関節にかかる負荷を減少させます。
つまり、膝の筋力を強化することは膝の軟骨のすり減りの原因を解消することに繋がります。
膝関節の代謝の改善
運動をすることで膝の滑膜や骨、軟骨の代謝が改善されると考えられています。
膝関節内部の代謝が改善されることで、膝の関節液の循環がよくなり、膝に水が溜まりにくくなったり、栄養が届きやすくなったりします。
代謝の改善によって膝の痛みが軽減されると考えられています。
腱や靱帯の柔軟性の向上
変形性膝関節症が進行すると、膝が曲がった状態で固まって膝が伸ばしにくくなる屈曲拘縮が生じることがあります。屈曲拘縮は膝を動かさないことが原因と考えられています。
運動を行うことで膝の柔軟性が向上し、膝の曲げ伸ばしが楽になります。
体重のコントロール
変形性膝関節症の原因の一つに肥満が挙げられます。
膝は体重を支える役割を担うため、肥満傾向にあると負荷が集中してしまいます。
適度に運動を行うことで、消費カロリーを増やし、体重をコントロールしやすくなります。
体重と変形性膝関節症の関連性については以下の記事もご参照ください。
変形性膝関節症の方の運動療法の具体例
ストレッチ
ストレッチは筋肉の緊張をほぐし、関節の柔軟性を向上させます。
お風呂を上がった後など、効果的な時間に取り入れるようにしましょう。
当院でもストレッチをご紹介しています。
テレビを見ながら実施できるものをご案内するなど、日常生活に取り入れやすく習慣化しやすい工夫を心がけています。
ウォーキング
ウォーキングは低負荷の運動を気軽に実施できるため当院でもお勧めしています。
運動療法の注意点
適度な負荷設定
運動が必要だからと言ってがむしゃらに動けばいいというものではありません。
膝への負荷が大きすぎる場合、膝に炎症が生じて痛みを強く感じたり、軟骨のすり減りが進行してしまう危険性もあります。
リハビリテーション医、理学療法士、柔道整復師など、リハビリテーションの専門家と相談し、運動の負荷や量、時間についてアドバイスを受けることをお勧めします。
痛みの管理
痛みが強い場合は安静にすることも必要です。しかし、安静にしすぎることで、運動量が低下してしまうため、より症状が進行しやすくなってしまいます。
運動のしすぎで痛みを感じることもあるため、適切な範囲で運動を継続する必要があります。
運動療法のポイント
継続すること
運動療法は他の治療方法と比べて即効性はあまり期待できません。
場合によっては膝の痛みも伴うため、継続できず途中で中断してしまうドロップアウトが発生しやすいです。
運動療法をやめてしまうと、運動療法のメリットである筋力の強化や代謝の向上が見込めなくなるだけでなく、筋力が衰え、代謝が悪化してしまうので、より変形性膝関節症が進行しやすい状況になってしまいます。
正しい方法で実施すること
運動は正しい方法で実施することが重要です。
目的の筋肉を正しく使うことで、効率よく行うことができます。
間違った方法でトレーニングを行なってしまうと、効果が得られないだけでなく、逆に悪化してしまうこともあります。
指導を受けて実施することをお勧めします。
変形性膝関節症の他の治療方法
変形性膝関節症の治療方法は以下の記事でも詳しく解説しています。
その中でも再生医療が近年注目されています。
再生医療は傷ついた組織の修復を促す成分を注入する治療です。
まとめ
変形性膝関節症の運動療法の有効性を理解しよう
運動療法は、変形性膝関節症の進行を予防し、痛みの軽減を期待できます。
一方で、正しく行わないと悪化してしまうことがあるため、医師や専門家の指導を受けて正しく実施することをお勧めしております。
当院でもリハビリテーションを提供していますので、是非ご検討ください。