膝の外側の痛みといえば腸脛靭帯炎(ランナー膝)を思い浮かべる方は少なくないと思いますが、一概にそうとも言い切れません。
膝の外側は、筋肉や靭帯のオーバーユース(使いすぎること)が原因で痛みが出る場合が多くあります。
加えて筋肉が硬い方は、身体のバランスが乱れて歪みも生じるため、オーバーユースやマルユース(身体の誤使用により関節に痛みが生じること)を誘発しやすいことが特徴です。
またX脚の方は、膝の外側に負担がかかりやすいため、膝の外側に炎症を起こしやすいと言えます。
ここでは、膝の外側の痛みの原因として考えられる疾患を解説します。
目次
腸脛靭帯炎(ランナー膝)
腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)とは
腸脛靭帯は、大腿筋膜張筋、大臀筋、中臀筋に付着し、脛骨(すねの骨)まで繋がっている靭帯です。太ももから脛上部までの外側に位置します。ランニングや自転車に乗るときの動作では、膝の外側にある骨の出っ張りである大腿骨外側上顆(だいたいこつがいそくじょうか)の上を、この腸脛靭帯が前後に動きます。このときの骨と靭帯の摩擦によって、部分的に炎症を起こしてしまった状態が腸脛靭帯炎です。
腸脛靭帯炎はランニングや自転車(ロードバイク)をする方に多く、別名「ランナー膝」とも呼ばれます。
症状
主に大腿骨外側上顆に痛みが生じることが多いですが、その周辺が痛むこともあります。膝の外側の痛みで最も多い疾患と言えるでしょう。
腸脛靭帯炎の原因と症状
なりやすい人・原因 | 起こる症状 |
□ トラック競技などの走るスポーツをしている方 □ 重量物を運搬する仕事をしている方 □ 体が硬い □ 急に運動を始めた時 | □ ランニングに伴う膝の外側の痛み □ 圧痛がある □ グラスピングテストで痛みが出る |
外側側副靭帯損傷
外側側副靭帯損傷の関節図外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)は、大腿骨と腓骨(すねの外側の骨)を結んでいます。
この靭帯を損傷してしまう外傷を外側側副靭帯損傷と言い、サッカーやラグビーなどのスポーツで他の選手と激しく接触し、受傷するケースが多く見られます。
接触のない場合でも、急な方向転換で膝に過度な負担がかかることにより起こることがあります。
しかしながら、外側側副靭帯は膝にある靭帯の中では最も受傷しにくい部位であり、一般的に単独で損傷することは少ないと言われています。
そのため膝関節内の半月板や十字靭帯の損傷と合併して起こるケースがほとんどです。
外側側副靭帯損傷の原因と症状
なりやすい人・原因 | 起こる症状 |
□ サッカーやラグビーなど接触の多いスポーツを行っている □ 柔道など転倒の多いスポーツを行っている □ 半月板損傷や十字靭帯損傷と診断された方 | □ 膝の外側の痛み □ 圧痛がある □ 膝が崩れる、力が抜ける |
外側半月板損傷
膝関節の骨と骨の間(大腿骨と脛骨の間)には半月板という特殊な軟骨があり、主に衝撃を吸収して分散させる役割を担っています。半月板はアルファベットの「C」のような形をした軟骨で、膝関節の内側と外側に一つずつあります。外側にあるのが、外側半月板(がいそくはんげつばん)。この外側半月板を何らかの原因で損傷してしまうことを、外側半月板損傷といいます。
内側半月板と同様、スポーツ中に受傷することが多いですが、加齢も原因の一つです。
内側半月板と比較すると、外側半月板を単独で受傷するケースは稀で、先に触れた外側側副靭帯や十字靭帯などと同時に損傷することが多いです。
外側半月板損傷の原因と症状
なりやすい人・原因 | 起こる症状 |
□ 高齢者の方 □ バレーボールなど、ジャンプ動作を繰り返すスポーツをしている □ サッカーなど、急な切り返しの動作が多いスポーツをしている | □ 膝の外側の痛み □ 膝関節に水がたまり、腫れる □ 膝が動かなくなる |
MRIの撮影で痛みの原因を究明しましょう
膝の関節は骨や軟骨、筋肉や腱が複雑に絡まり合ってできています。
痛みの原因を特定することにMRIの撮影が役立ちます。MRIは膝の内部の状態を詳細に見ることができるため、正確な診断の助けになるのです。
当院でもMRIの撮影を受け付けておりますので、一度ご検討ください。