変形性股関節症における日常生活の注意点を解説。やってはいけないことや、生活の上で工夫して欲しいポイントを詳しく紹介します。
目次
変形性股関節症対策:ひねる・しゃがむを避けよう
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、関節の変形や痛みを引き起こす病気です。この病気を持つ方にとって、日常生活での動作が痛みや症状の悪化を引き起こすことがあります。
特に、ひねる動きやしゃがむ動きは股関節に大きな負担をかけるため、避けることが重要です。
ひねる動きは、関節にねじれの力を加え、傷んでいる軟骨にさらにダメージを与える可能性があります。また、しゃがむ動作は股関節に過度の圧力をかけ、痛みを悪化させる原因となります。
これらの動作を避けることで、日常生活の中で痛みを軽減し、症状の進行を遅らせることが期待できます。
この記事では、変形性股関節症についての基本的な情報と、具体的に避けるべき動作について詳しく解説します。また、日常生活で注意すべきポイントや、再生医療の選択肢についても紹介しますので、変形性股関節症でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
変形性股関節症とは
変形性股関節症は、股関節の軟骨が徐々にすり減り、骨と骨が直接擦れ合うことで痛みや炎症を引き起こす慢性の関節疾患です。
公益財団法人日本医療機能評価機構によると、変形性股関節症の有病率は全体で1.0-4.3%と言われています。男女別に見ると、男性では0〜2.0%ですが、女性では2.0〜7.5%と女性に多い疾患です。
既往歴などにもよりますが、40代〜50代の女性が発症することが多いと考えられています。
原因
変形性股関節症の原因は、加齢などによる関節の摩耗です。しかし、多くの場合、発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の形成不全など、子どものときの病気や発育障害の後遺症がおもな原因でもあります。
症状
初期症状は、股関節の違和感や軽い痛みが感じられることが多いです。症状の進行にともない、次のような症状が現れることがあります。
- 股関節の痛みやこわばり
- 歩行時の不快感や痛み
- 股関節の動きの制限
- 朝起きたときや長時間座った後の立ち上がり時の痛み
これらの症状が日常生活に影響を及ぼし、活動範囲が制限されることが多くなります。
診断
変形性股関節症の診断は、医師による問診と身体検査、そして画像検査(X線やMRI)を行います。
関節症が進行すると、関節のすき間が狭くなったり、関節内や周囲に骨棘(異常な骨組織)が形成されたり、骨の空洞(骨のう胞)ができたりします。
治療
変形性股関節症の治療には、非外科的治療と外科的治療があります。非外科的治療には、薬物療法、理学療法、生活習慣の改善が含まれます。外科的治療としては、人工関節置換術などがあります。
最近では、再生医療の選択肢も注目されています。
変形性股関節症で避けるべき動作
変形性股関節症の方は、日常生活の中で特定の動作を避けることが重要です。これにより、股関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。
以下に、特に避けるべき動作について詳しく解説します。
長時間の立ち仕事
長時間の立ち仕事は、股関節に過度な負担をかけるため、変形性股関節症の症状を悪化させる可能性があります。
立ち続けることで関節に負荷がかかり、痛みやこわばりが増すことがあります。可能であれば、定期的に座る時間を設けるなど、休憩を取るようにしましょう。
重たい荷物を運ぶ
重たい荷物を持ち上げたり運んだりすることは、股関節に大きな負担をかけます。特に無理な姿勢で持ち上げると、関節に過度の圧力がかかり、痛みが増す原因となります。
できるだけ重いものは避けるようにしましょう。
バックを持つときは、手に持つよりもリュックなどで背負ったほうが負担を軽減できます。
脚を組む
脚を組む姿勢は、股関節に不均等な圧力をかけます。また、血流が悪くなることで痛みやこわばりが増すこともあるため注意しましょう。
座る際には、両足を床につけてまっすぐに座ることをおすすめします。
あぐらや正座
あぐらや正座の姿勢も、股関節に過度な負担をかけるため避けてください。椅子に座るなど、股関節に負担の少ない姿勢を選びましょう。
立ち座りが多くなる床生活
床に座ったり、立ち上がったりする動作は、股関節に繰り返し負荷をかけるため、症状を悪化させる可能性があります。椅子やソファーなどを使用して、立ち座りの回数を減らす工夫をしましょう。
過度な運動やストレッチ
過度な運動やストレッチは、股関節に過剰な負担をかける場合があります。適度な運動は健康に良いですが、股関節に負担がかからない範囲で行うようにしましょう。
変形性股関節症の方に日常生活で気をつけて欲しいこと
変形性股関節症の方が日常生活で気をつけるべきポイントを押さえることで、症状の悪化を防ぎ、より快適に過ごすことができます。ここでは、特に重要な点について説明します。
テーブルと椅子を使用した生活へ移行しましょう
床に座る生活は、股関節に大きな負担をかけることがあります。あぐらや正座などの姿勢を避けるために、できるだけテーブルと椅子を使用した生活に移行することをおすすめします。
椅子の選び方
しっかりとした背もたれがあり、座面の高さが調節できる椅子を選びましょう。
膝が股関節よりも高くならないようにすることがポイントです。
テーブルの高さ
テーブルの高さは、座ったときに肘が90度に曲がる位置が理想的です。
これにより、体に無理な姿勢を強いることなく、快適に作業や食事ができます。
クッションの使用
長時間座っていると股関節に負担がかかるため、クッションを使用して座面を柔らかくすることも有効です。
また、クッションを使用することで座り心地が向上し、股関節への圧力を分散させることができます。
テーブルと椅子を使用した生活に移行することで、股関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐことが期待できるためおすすめです。また、立ち座りの回数が減るため、関節に対する繰り返しの圧力も軽減されます。
変形性股関節症への再生医療の選択肢
変形性股関節症の治療方法は多岐にわたりますが、近年注目されているのが再生医療です。再生医療は、身体の自然な修復力を利用して損傷した組織を修復することを目指す治療法です。ここでは、変形性股関節症に対する再生医療の選択肢について詳しく説明します。
PRP(多血小板血漿)療法
患者さん自身の血液を採取し、血小板を濃縮したものを注射する治療法です。血小板に含まれる成長因子が軟骨の修復を促進し、炎症を抑える効果があります。
この効果を利用する治療方法がPRP療法です。
PRP療法は欧州スポーツ外傷・膝外科・関節鏡学会議(ESSKA)の整形バイオロジクス コンセンサスでも推奨グレードA (科学的に高く推奨される)とされています。
当院が実施しているPRP-FD療法は、フリーズドライ加工によりPRPを無細胞化したものです。国内の厳格な管理がなされた施設と連携し血液を加工しています。これにより、常温保存が可能となり、注射日の選択に自由度が増しました。
PRP療法は、従来のヒアルロン酸注射が効かない場合や、手術を避けたい、あるいは年齢や他の病気のために手術が選択できない方に対する新しい治療の選択肢となります。
幹細胞治療
幹細胞治療は、患者さん自身の体から採取した幹細胞を利用して、損傷した軟骨を再生させる治療法です。幹細胞は自己修復能力を持っており、損傷部位に注入することで新しい軟骨細胞の生成を促進します。
幹細胞には、脂肪由来・乳歯髄由来・臍帯血由来・骨髄由来などいくつか種類がありますが、当院では脂肪由来の幹細胞を用いた治療を行っています。
ご本人のお腹や太腿などから脂肪を採取いたします。脂肪の中に含まれる幹細胞を抽出し、培養して幹細胞の数を増やした状態で関節に投与します。
再生医療は、変形性股関節症治療の新たな選択肢ですが、治療を受ける際には医師と十分に相談し、自分に適した治療法を選択することが重要です。
まとめ:変形性股関節症でお困りなら無料電話相談へ
変形性股関節症は、日常生活に大きな影響を与える疾患です。しかし、適切な対策と治療を行うことで、症状の進行を遅らせ、生活の質の向上が期待できます。
こちらで紹介したように、ひねる・しゃがむ動作を避けることや、テーブルと椅子を使用した生活への移行を心掛けましょう。また、新しい治療の選択肢として、当院でも再生医療を実施しております。
これらの対策や治療法をご自身で判断するのは難しいかもしれません。そのため、当院では治療内容をご納得いただいた上で受診いただけるよう、無料にて事前の治療相談を実施しております。
まずはお電話にてご相談ください。